【解答・解説】強酸・弱酸・強塩基・弱塩基の電離式 練習問題5問【高校化学】

酸・塩基・中和
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前回の練習問題5問、解けましたか?この記事では全5問の解答と解説を丁寧に説明します。電離式は入試で頻出なので、書き方をしっかり確認しましょう!

📋 解答一覧(まず答え合わせ)
  • 問題1:①HNO₃→H⁺+NO₃⁻ ②CH₃COOH⇌H⁺+CH₃COO⁻ ③H₂SO₄→2H⁺+SO₄²⁻ ④H₂CO₃⇌H⁺+HCO₃⁻ ⑤HF⇌H⁺+F⁻
  • 問題2:①NaOH→Na⁺+OH⁻ ②NH₃+H₂O⇌NH₄⁺+OH⁻ ③Ca(OH)₂→Ca²⁺+2OH⁻ ④Al(OH)₃⇌Al³⁺+3OH⁻ ⑤Ba(OH)₂→Ba²⁺+2OH⁻
  • 問題3:①H₂S=弱酸(H₂S⇌H⁺+HS⁻) ②KOH=強塩基(KOH→K⁺+OH⁻) ③HCN=弱酸(HCN⇌H⁺+CN⁻) ④Mg(OH)₂=弱塩基(Mg(OH)₂⇌Mg²⁺+2OH⁻) ⑤HBr=強酸(HBr→H⁺+Br⁻)
  • 問題4:第1段階:H₃PO₄⇌H⁺+H₂PO₄⁻ 第2段階:H₂PO₄⁻⇌H⁺+HPO₄²⁻ 第3段階:HPO₄²⁻⇌H⁺+PO₄³⁻
  • 問題5:弱酸・弱塩基は電離と再結合が同時に起こり平衡状態(化学平衡)になるため⇌を使う
問題 1 次の酸の電離式を書け。①HNO₃ ②CH₃COOH ③H₂SO₄ ④H₂CO₃(第1段階) ⑤HF
答え
① HNO₃ → H⁺ + NO₃⁻強酸・→
② CH₃COOH ⇌ H⁺ + CH₃COO⁻弱酸・⇌
③ H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻強酸・→
④ H₂CO₃ ⇌ H⁺ + HCO₃⁻弱酸・⇌
⑤ HF ⇌ H⁺ + F⁻弱酸・⇌
⑤HFが弱酸である理由

HBr・HI・HClは強酸ですが、HFだけは弱酸です。フッ素(F)は電気陰性度が高くH-F結合が非常に強いため、水溶液中で完全には電離できません。「フッ化水素だけは弱酸」と覚えましょう。

⚠️ H₂SO₄の電離係数に注意!

H₂SO₄は2価なのでH⁺が2個生成されます。係数の2を忘れずに:
H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻

問題 2 次の塩基の電離式を書け。①NaOH ②NH₃ ③Ca(OH)₂ ④Al(OH)₃ ⑤Ba(OH)₂
答え
① NaOH → Na⁺ + OH⁻強塩基・→
② NH₃ + H₂O ⇌ NH₄⁺ + OH⁻弱塩基・⇌
③ Ca(OH)₂ → Ca²⁺ + 2OH⁻強塩基・→
④ Al(OH)₃ ⇌ Al³⁺ + 3OH⁻弱塩基・⇌
⑤ Ba(OH)₂ → Ba²⁺ + 2OH⁻強塩基・→
②NH₃の電離式の特殊な形

NH₃はOH⁻を直接放出しません。水(H₂O)からH⁺を受け取ることでOH⁻が生じます。そのため電離式にH₂Oが入ります:
NH₃ + H₂O ⇌ NH₄⁺ + OH⁻
他の塩基とは形が違うので注意!

③⑤の係数に注意

Ca(OH)₂は2価 → OH⁻が2個:Ca(OH)₂ → Ca²⁺ + 2OH⁻
Ba(OH)₂は2価 → OH⁻が2個:Ba(OH)₂ → Ba²⁺ + 2OH⁻

問題 3 ①H₂S ②KOH ③HCN ④Mg(OH)₂ ⑤HBrを強酸・弱酸・強塩基・弱塩基に分類し電離式を書け。
答え
① H₂S:弱酸 H₂S ⇌ H⁺ + HS⁻
② KOH:強塩基 KOH → K⁺ + OH⁻
③ HCN:弱酸 HCN ⇌ H⁺ + CN⁻
④ Mg(OH)₂:弱塩基 Mg(OH)₂ ⇌ Mg²⁺ + 2OH⁻
⑤ HBr:強酸 HBr → H⁺ + Br⁻
物質分類判断の根拠
H₂S弱酸強酸6種に含まれない→弱酸
KOH強塩基K=アルカリ金属の水酸化物→強塩基
HCN弱酸強酸6種に含まれない→弱酸
Mg(OH)₂弱塩基Mg=アルカリ土類金属だがCa・Ba以外→弱塩基
HBr強酸強酸6種のひとつ(HBr)
⚠️ アルカリ土類金属の水酸化物の注意点

アルカリ土類金属(Ca・Mg・Baなど)の水酸化物のうち、Ca(OH)₂・Ba(OH)₂だけが強塩基です。Mg(OH)₂は弱塩基になります。

問題 4 リン酸(H₃PO₄)の第1〜第3段階の電離式をすべて書け。
答え
第1段階:H₃PO₄ ⇌ H⁺ + H₂PO₄⁻
第2段階:H₂PO₄⁻ ⇌ H⁺ + HPO₄²⁻
第3段階:HPO₄²⁻ ⇌ H⁺ + PO₄³⁻
段階的電離のポイント

3価の弱酸H₃PO₄はH⁺を1個ずつ3段階に分けて放出します。
各段階で生じるイオンの名前と電荷の変化に注目:
H₃PO₄(0)→ H₂PO₄⁻(−1)→ HPO₄²⁻(−2)→ PO₄³⁻(−3)
電荷が1ずつ減っていくことを確認しましょう。

💡 同様に段階的電離する酸
  • H₂CO₃(2価):H₂CO₃⇌H⁺+HCO₃⁻、HCO₃⁻⇌H⁺+CO₃²⁻
  • H₂S(2価):H₂S⇌H⁺+HS⁻、HS⁻⇌H⁺+S²⁻
  • H₂SO₃(2価):H₂SO₃⇌H⁺+HSO₃⁻、HSO₃⁻⇌H⁺+SO₃²⁻
問題 5 弱酸・弱塩基に⇌を使う理由を「化学平衡」という語句を使って説明せよ。
答え
弱酸・弱塩基は電離する反応と再結合する逆反応が同時に起こり、両者が釣り合った化学平衡の状態になるため、可逆反応を表す⇌を使う。
化学平衡のイメージ

CH₃COOH ⇌ H⁺ + CH₃COO⁻

→ 右向き:CH₃COOHが電離してH⁺とCH₃COO⁻になる
← 左向き:H⁺とCH₃COO⁻が結合してCH₃COOHに戻る

この2つの反応が同じ速さで起こると化学平衡の状態になります。
平衡状態では電離したものと電離していないものが一定の割合で共存しています。

📝 この記事のまとめ
  • 強酸・強塩基は(完全電離)、弱酸・弱塩基は(部分電離)
  • HFだけは弱酸(HCl・HBr・HIは強酸):H-F結合が強いため
  • NH₃の電離式は特殊:NH₃ + H₂O ⇌ NH₄⁺ + OH⁻
  • 多価の酸・塩基はH⁺・OH⁻を1個ずつ段階的に放出する
  • Ca(OH)₂・Ba(OH)₂は強塩基、Mg(OH)₂は弱塩基
  • ⇌を使う理由:電離と再結合が同時に起こる化学平衡のため

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