【前回の記事】酸化数の求め方と計算ルール|練習問題10問
酸化数の求め方をまだ確認していない方はこちらから先に読んでおきましょう!
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酸化数が使えるようになったら、次は「酸化剤」「還元剤」を理解しましょう。酸化剤・還元剤の定義を押さえた上で、半反応式を自分で作れるようになることが目標です。半反応式は2つのパターンで作れます。どちらも丁寧に解説するので一緒に学んでいきましょう!
- 酸化剤・還元剤の定義
- 半反応式の作り方【パターン①:電子の授受から作る】
- 半反応式の作り方【パターン②:H₂Oを加えて作る】
- 酸化剤・還元剤の見分け方
酸化剤と還元剤は、電子のやりとりの役割で定義されます。
相手から電子を受け取る物質のことです。
相手を酸化させる(電子を奪う)ので「酸化剤」と呼びます。
酸化剤自身は還元されます。
相手に電子を渡す物質のことです。
相手を還元させる(電子を与える)ので「還元剤」と呼びます。
還元剤自身は酸化されます。
| 名前 | 電子との関係 | 自身はどうなる? | 相手はどうなる? |
|---|---|---|---|
| 酸化剤 | 電子を受け取る | 還元される | 酸化される |
| 還元剤 | 電子を渡す | 酸化される | 還元される |
「酸化剤は自分が還元される」「還元剤は自分が酸化される」という点が混乱しやすいです。酸化剤は相手を酸化させる剤(道具)なので、自分は逆の変化(還元)をすると覚えましょう。
半反応式とは、酸化剤または還元剤単独の反応を表した式のことです。全体の反応式を作る前に、まず半反応式を作れるようになることが重要です。
酸化数の変化を手がかりに、電子数を決めながら順番に半反応式を完成させる方法です。画像のように、式を少しずつ作り上げていきます。
- STEP1:反応前後の物質を書く
- STEP2:酸化数の変化を確認し、e⁻を加える
- STEP3:O原子をH₂Oで補う
- STEP4:H原子をH⁺で補う→完成
MnO₄⁻は酸性条件下でMn²⁺に変化します。
まずMnO₄⁻がMn²⁺に変化することだけを書きます。
MnO₄⁻中のMnの酸化数は+7、右辺のMn²⁺は+2です。つまり酸化数が5減少しています。
酸化数が5減少するということは、相手から電子を5個受け取ったことになります。なので、左辺に 5e⁻ を書き加えます。
左辺にはO原子が4個ありますが、右辺には1個もありません。左辺にあった酸素原子Oが、すべて右辺の水H₂Oに変化したと考えて、右辺にH₂Oを係数4にして加えます。
STEP3でH₂Oを4個加えたので、右辺のH原子が8個増えてしまいました。そこで左辺にH⁺を8個書き加えると、両辺のH原子の数が一致します。
- 左辺のMn:1個 右辺のMn:1個 ✅
- 左辺のO:4個 右辺のO:4個(H₂O×4)✅
- 左辺のH:8個(H⁺×8) 右辺のH:8個(H₂O×4)✅
- 左辺の電荷:−1+8+(−5)=+2 右辺の電荷:+2 ✅
(COOH)₂はCO₂に変化します。このときCの酸化数に注目します。
まず(COOH)₂がCO₂に変化することを書きます。C原子は2個あるので右辺は2CO₂です。
(COOH)₂中のCの酸化数は+3、CO₂中のCは+4です。C原子1個あたり1増加、C原子が2個あるので合計2増加です。
酸化数が合計2増加するということは、電子を2個放出したことになります。なので、右辺に 2e⁻ を書き加えます。
左辺のO原子:4個 右辺のO原子:4個(CO₂×2)
O原子はすでに両辺で一致しているので、H₂Oを加える必要はありません。
左辺のH原子:2個((COOH)₂のH) 右辺のH原子:0個
H原子が2個不足しているので、右辺にH⁺を2個加えます。
- 左辺のC:2個 右辺のC:2個 ✅
- 左辺のO:4個 右辺のO:4個(CO₂×2)✅
- 左辺のH:2個 右辺のH:2個(H⁺×2)✅
- 左辺の電荷:0 右辺の電荷:0+2+(−2)=0 ✅
① 反応前後の物質を書く
② 酸化数の変化量=電子数として e⁻ を加える
③ O原子が足りない側に H₂O を加える
④ H原子が足りない側に H⁺ を加えて完成!
複雑な反応(O原子やH原子が関係する反応)では、H₂OとH⁺を使ってO・Hのバランスを取りながら半反応式を作ります。受験でよく出る重要な方法です。
- 反応前後の物質を書く(O原子はまだ無視)
- O原子の数を合わせるため、不足する側にH₂Oを加える
- H原子の数を合わせるため、不足する側にH⁺を加える
- 電荷のバランスを合わせるため e⁻ を加える
- 両辺の原子数・電荷を確認する
MnO₄⁻は酸性条件下でMn²⁺に変化します。
$$\text{MnO}_4^- \rightarrow \text{Mn}^{2+}$$
$$\text{MnO}_4^- \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 4\text{H}_2\text{O}$$
$$\text{MnO}_4^- + 8\text{H}^+ \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 4\text{H}_2\text{O}$$
左辺の電荷:−1 + 8 = +7
右辺の電荷:+2
差は5なので、左辺に 5e⁻ を加える
(COOH)₂は還元剤としてはたらき、CO₂に変化します。
$$(\text{COOH})_2 \rightarrow 2\text{CO}_2$$
左辺のO:4個 右辺のO:4個 → O原子はすでに一致!H₂Oを加える必要なし
$$(\text{COOH})_2 \rightarrow 2\text{CO}_2 + 2\text{H}^+$$
左辺の電荷:0
右辺の電荷:+2
差は2なので、右辺に 2e⁻ を加える
パターン①:(COOH)₂ → 2CO₂ + 2H⁺ + 2e⁻
パターン②:(COOH)₂ → 2CO₂ + 2H⁺ + 2e⁻
どちらの方法で作っても同じ半反応式が得られます。つまり、パターン①でもパターン②でもどちらで作ってもOKです。自分が使いやすい方法を選びましょう。
2つの半反応式を並べてみると、e⁻がどちらの辺にあるかが最大の違いです。
- ▶ e⁻は左辺(反応物側)にある
- ▶ 電子を受け取る→自身は還元される
- ▶ 相手を酸化させる→酸化剤
- ▶ e⁻は右辺(生成物側)にある
- ▶ 電子を放出する→自身は酸化される
- ▶ 相手を還元させる→還元剤
🔑 半反応式で酸化剤・還元剤を見分けるポイント
- e⁻が左辺にある → 電子を受け取る → 酸化剤
- e⁻が右辺にある → 電子を放出する → 還元剤
酸化剤か還元剤かは、酸化数の変化を見れば判定できます。
| 酸化数の変化 | 判定 | 役割 |
|---|---|---|
| 酸化数が減少した | 還元された | 酸化剤としてはたらいた |
| 酸化数が増加した | 酸化された | 還元剤としてはたらいた |
| 物質 | 注目原子 | 酸化数の変化 | 役割 |
|---|---|---|---|
| Zn | Zn | 0 → +2(増加) | 還元剤 |
| H₂SO₄ | H | +1 → 0(減少) | 酸化剤 |
- 酸化剤:電子を受け取る物質。自身は還元される。
- 還元剤:電子を渡す物質。自身は酸化される。
- パターン①:酸化数の変化量=電子数として e⁻ を加え、O・HをH₂O・H⁺で補い完成させる
- パターン②:H₂OとH⁺でO・Hを補いながら最後に e⁻ で電荷を合わせる
- MnO₄⁻の半反応式(酸化剤):MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
- (COOH)₂の半反応式(還元剤):(COOH)₂ → 2CO₂ + 2H⁺ + 2e⁻


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