【前回の記事】酸化・還元とは?3つの定義をやさしく解説
酸化・還元には「酸素」「水素」「電子」の3つの定義があります。まだ読んでいない方はこちらから先に確認しておきましょう!
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前回は酸化・還元の3つの定義を学びました。今回学ぶ「酸化数」を使うと、複雑な反応式でも「どの原子が酸化・還元されたか」を一瞬で見抜けるようになります。受験化学の最重要テーマの一つなので、しっかりマスターしましょう!
- 酸化数とは何か
- 酸化数を求める6つのルール
- 酸化数を使った酸化・還元の判定方法
- 具体的な計算例(H₂O・H₂SO₄・MnO₄⁻など)
酸化数とは、原子が持つ電荷の仮の値のことです。
「仮の値」というのがポイントで、実際にその電荷を持っているわけではありませんが、酸化・還元を判定するための便利な道具として使います。
- 酸化数が増加した原子 → 酸化された
- 酸化数が減少した原子 → 還元された
- ルール1単体の原子の酸化数は 0(例:H₂、O₂、Cuはすべて 0)
- ルール2単原子イオンの酸化数はそのイオンの電荷と同じ(例:Na⁺は +1、Cl⁻は −1)
- ルール3化合物中のHの酸化数は +1(例外:金属水素化物では −1)
- ルール4化合物中のOの酸化数は −2(例外:H₂O₂では −1、OF₂では +2)
- ルール5化合物中のアルカリ金属(Li・Na・K…)の酸化数は +1
- ルール6化合物や多原子イオン中の酸化数の総和は、全体の電荷に等しい(化合物は0、イオンはその電荷)
・H₂O₂(過酸化水素)のO:−1(通常の−2ではない)
・NaH(水素化ナトリウム)のH:−1(通常の+1ではない)
まずルール通りに計算し、例外は別で覚えておきましょう。
Hの酸化数はルール3より +1
ルール6より、酸化数の総和=0(化合物)
(+1)×2 + Oの酸化数 = 0
Oの酸化数 = 0 − 2 = −2
Hの酸化数 = +1、Oの酸化数 = −2(ルール3・4)
ルール6より:(+1)×2 + Sの酸化数 + (−2)×4 = 0
2 + Sの酸化数 − 8 = 0
Sの酸化数 = +6
Oの酸化数 = −2(ルール4)
ルール6より:Mnの酸化数 + (−2)×4 = −1(イオン全体の電荷)
Mnの酸化数 = −1 + 8 = +7
酸化数がわかれば、反応式を見るだけで酸化・還元を瞬時に判定できます。
| 原子 | 反応前の酸化数 | 反応後の酸化数 | 変化 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| Cu | 0(単体) | +2(CuO中) | +2 増加 | 酸化 |
| O | 0(単体) | −2(CuO中) | −2 減少 | 還元 |
- 酸化数が増加した原子 → 酸化された
- 酸化数が減少した原子 → 還元された
- 酸化数が変化しない原子 → 酸化も還元もされていない
- 酸化数とは「原子が持つ電荷の仮の値」
- 酸化数には6つのルールがある(H=+1、O=−2など)
- 酸化数の総和は化合物では0、イオンでは電荷に等しい
- 酸化数増加→酸化、酸化数減少→還元
- H₂O₂のOは−1、NaHのHは−1(例外に注意!)
✏️ 練習問題【全10問】
次の化合物・イオン中の、下線を引いた原子の酸化数を求めなさい。解答・解説は次の記事で確認しましょう!
NH₃(アンモニア)のNの酸化数を求めよ。
SO₂(二酸化硫黄)のSの酸化数を求めよ。
NO₃⁻(硝酸イオン)のNの酸化数を求めよ。
H₂O₂(過酸化水素)のOの酸化数を求めよ。
Cr₂O₇²⁻(二クロム酸イオン)のCrの酸化数を求めよ。
CuSO₄(硫酸銅)のSの酸化数を求めよ。
Cl₂O₇(七酸化二塩素)のClの酸化数を求めよ。
NaH(水素化ナトリウム)のHの酸化数を求めよ。
次の反応において、酸化された原子と還元された原子をそれぞれ答えよ。
$$\text{Zn} + \text{H}_2\text{SO}_4 \rightarrow \text{ZnSO}_4 + \text{H}_2$$
次の酸化還元反応において、酸化された物質と還元された物質をそれぞれ答えよ。
$$\text{H}_2\text{O}_2 + 2\text{KI} + \text{H}_2\text{SO}_4 \rightarrow \text{I}_2 + \text{K}_2\text{SO}_4 + 2\text{H}_2\text{O}$$


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