第1章2.1節 マクロの世界~純物質と混合物~

物質はマクロの世界とミクロ世界に分けることができることは前回紹介した。(第1章1節)

2節では、マクロの世界について見ていこう。

マクロというのは実際にみなさんが目で見えている世界である。

純物質と混合物

身の回りに存在する多くの物質は、何種類かの物質がいろいろな割合で混じり合っている。これを1種類の物質まで分離していくことがスタートとなるだろう。

物質は純物質と混合物に分類できる。

混合物・・・何種類かの物質が混合したもの

混ざり合う物質の割合によって性質(融点・沸点・密度など)が異なる

(例)食塩水・・・食塩+水

   空気・・・窒素+酸素+二酸化炭素+・・・

純物質・・・1種類の物質からできているもの

性質(融点・沸点・密度)が決まっている

単体・・・1種類のみの元素からできている

(例)H2、O2

化合物・・・2種類以上の元素からできている

(例)H2O、NH3

よくある間違いが、塩酸である。塩酸はHClだと思いこみ、純物質と答える人が多いが、

実際には塩酸は、HCl(塩化水素)+H2O(水)の混合物である。

混合物の分離

世の中のほとんどの物質が、混合物である。

これを純物質だけに分けていくことによって、1つ1つの物質の性質を考えることができる。

その方法としてよく出てくるのが、下の6つ。

  1. ろ過 ろ紙などを用いて,液体とそれに溶けない固体を分離する方法
  2. 蒸留 物質の沸点の違いを利用して,各成分物質に分離する方法
    • 沸点の差が小さい2種類以上の成分を含む液体を蒸留して分離することを,特に分留(分別蒸留の略)という。
  1. 再結晶 混合物を一度水などに溶かした後,結晶として純粋な物質を取り出す方法
  2. 昇華法 昇華しやすい物質と昇華しにくい物質を分離する方法
  3. 抽出 目的の物質だけを液体に溶かして分離する方法
  4. クロマトグラフィー 物質が吸着剤に吸着される強さの違いを利用して成分を分離する方法

原子と元素

化学を習い始めると、よく似た言葉に混乱することが多い。それが、原子と元素。

原子・・・物質を構成している基本的な粒子

元素・・・物質を構成している原子の種類

イメージとしては、小さなツブを「原子」といい、そのツブの種類を「元素」という。

そのため、ある小さなツブに対して、「ナトリウム原子」とはいうが、「ナトリウム元素」とは呼ばない

元素と単体

選択問題でもよく聞かれるのが、「元素」か「単体」か問題。

例えば、次の文章の青文字はどちらの意味を表すのだろうか。

  1. アンモニアは窒素と水素からなる。
  2. アンモニアは窒素と水素から合成される。

アンモニアNH3には、窒素Nと水素Hの成分が含まれている

そのため、1の場合は、「元素」の意味で使われている。

一方、2の場合についてである。化学反応式はまだ紹介していないが、アンモニアは

 N2+3H2→2NH3

のような反応式で書くことができる。

言い換えると、窒素N2と水素H2が反応してアンモニアNH3ができている。

つまり、2の場合は実際に反応した物質なので、「単体」の意味で使われている。

まとめ

  • 世の中には、混合物と純物質があり、純物質は化合物と単体に分けることができる。
  • 混合物を分離して純物質に分ける方法はいろいろがあるが、次の6つは知っておこう。
    • ろ過
    • 蒸留
    • 再結晶
    • 昇華法
    • 抽出
    • クロマトグラフィー
  • 原子と元素の違い
    • 原子・・・ツブのこと
    • 元素・・・ツブの種類
  • 元素と単体の違い
    • 元素・・・成分
    • 単体・・・実際に反応した物質

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