酸化還元反応に続いて、今回から中和シリーズがスタートします!中和は日常生活にも深く関わる重要なテーマです。まずは「酸」と「塩基」の定義を3つの視点から理解し、価数・強弱の基本をしっかり押さえましょう!
- 酸・塩基の3つの定義(アレニウス・ブレンステッド・ルイス)
- 酸・塩基の価数(1価・2価・3価)
- 強酸・弱酸・強塩基・弱塩基の違い
- 両性物質とは何か
- 練習問題5問
定義を学ぶ前に、酸と塩基の身近な特徴を確認しましょう。日常生活でよく目にする性質です。
- すっぱい味がする(酢・レモンなど)
- 青色リトマス紙を赤に変える
- BTB溶液を黄色に変える
- 金属(Zn・Feなど)と反応してH₂を発生させる
- 炭酸カルシウム(CaCO₃)と反応してCO₂を発生させる
- 水溶液は電気を通す(電解質)
- pH<7(酸性)
- 苦い味・ぬめり感がある(石けんなど)
- 赤色リトマス紙を青に変える
- BTB溶液を青色に変える
- タンパク質を溶かす(皮膚がただれる原因)
- 酸と反応して中和する
- 水溶液は電気を通す(電解質)
- pH>7(塩基性・アルカリ性)
| 物質名 | 酸・塩基 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 塩酸(HCl) | 酸 | 胃液の主成分 |
| 酢酸(CH₃COOH) | 酸 | 食酢(約3〜5%) |
| 炭酸(H₂CO₃) | 酸 | 炭酸飲料 |
| クエン酸 | 酸 | レモン・梅干し |
| 水酸化ナトリウム(NaOH) | 塩基 | 石けん・パイプ洗浄剤 |
| アンモニア(NH₃) | 塩基 | 肥料・洗剤 |
| 水酸化カルシウム(Ca(OH)₂) | 塩基 | 消石灰・土壌改良 |
| 重曹(NaHCO₃) | 塩基 | 料理・ふくらし粉 |
アレニウスの定義は最もシンプルな定義で、水溶液中でのH⁺とOH⁻の放出に注目します。
水に溶けてH⁺(水素イオン)を放出する物質
例:HCl → H⁺ + Cl⁻
水に溶けてOH⁻(水酸化物イオン)を放出する物質
例:NaOH → Na⁺ + OH⁻
アレニウスの定義では水溶液中の反応しか扱えません。
例えばアンモニア(NH₃)は水溶液中でOH⁻を生じますが、OH⁻を直接放出しているわけではありません。
この限界を解決したのがブレンステッドの定義です。
ブレンステッドの定義はH⁺の授受に注目します。水溶液以外の反応にも適用できます。
H⁺を与える物質(プロトン供与体)
例:HCl、H₂SO₄、CH₃COOH
H⁺を受け取る物質(プロトン受容体)
例:NaOH、NH₃、H₂O
NH₃がH₂OからH⁺を受け取ってNH₄⁺になります。
NH₃はH⁺を受け取っているのでブレンステッド塩基です。
ルイスの定義は最も広い定義で、電子対の授受に注目します。高校化学では軽く触れる程度でOKです。
電子対を受け取る物質
例:BF₃、AlCl₃、H⁺
電子対を与える物質
例:NH₃、H₂O、OH⁻
アレニウス酸塩基 ⊂ ブレンステッド酸塩基 ⊂ ルイス酸塩基
アレニウスで酸・塩基に分類されるものは、ブレンステッドでも分類される。
ブレンステッドで分類されるものは、ルイスでも分類される。
つまりルイスの定義が最も広い。
価数とは1分子から放出(または受け取り)できるH⁺やOH⁻の数のことです。
| 価数 | 酸の例 | 塩基の例 |
|---|---|---|
| 1価 | HCl(塩化水素)、HNO₃(硝酸)、CH₃COOH(酢酸)、HF(フッ化水素) | NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、NH₃(アンモニア) |
| 2価 | H₂SO₄(硫酸)、H₂CO₃(炭酸)、H₂S(硫化水素) | Ca(OH)₂(水酸化カルシウム)、Ba(OH)₂(水酸化バリウム)、Mg(OH)₂ |
| 3価 | H₃PO₄(リン酸) | Al(OH)₃(水酸化アルミニウム)、Fe(OH)₃(水酸化鉄(III)) |
NH₃はOH⁻を直接放出しませんが、H⁺を1個受け取れるので1価の塩基です。
NH₃ + H₂O → NH₄⁺ + OH⁻
酸・塩基は水溶液中での電離のしやすさによって強・弱に分類されます。
| 強酸 | 弱酸 | |
|---|---|---|
| 電離度 | ほぼ100%(完全電離) | 数%以下(部分電離) |
| 代表例 | HCl・HNO₃・H₂SO₄・HClO₄・HBr・HI | CH₃COOH・H₂CO₃・HF・H₂S・HCN・H₃PO₄ |
| 同濃度での H⁺濃度 |
大きい | 小さい |
| 強塩基 | 弱塩基 | |
|---|---|---|
| 電離度 | ほぼ100%(完全電離) | 数%以下(部分電離) |
| 代表例 | NaOH・KOH・Ca(OH)₂・Ba(OH)₂・LiOH | NH₃・Mg(OH)₂・Al(OH)₃・Fe(OH)₃・Cu(OH)₂ |
| 同濃度での OH⁻濃度 |
大きい | 小さい |
- 強酸(6種):HCl・HNO₃・H₂SO₄・HClO₄・HBr・HI →「塩硝硫・過塩臭ヨウ」
- 強塩基:アルカリ金属(Li・Na・K・Rb・Cs)の水酸化物 + Ca(OH)₂・Ba(OH)₂
- 上記以外の酸・塩基はすべて弱酸・弱塩基と覚える
両性物質とは、酸としても塩基としてもはたらく物質のことです。
| 両性物質 | 酸としてはたらく例 | 塩基としてはたらく例 |
|---|---|---|
| H₂O(水) | NH₃ + H₂O → NH₄⁺ + OH⁻ (H₂OがH⁺を与える) |
HCl + H₂O → H₃O⁺ + Cl⁻ (H₂OがH⁺を受け取る) |
| HCO₃⁻ | HCO₃⁻ → H⁺ + CO₃²⁻ | HCO₃⁻ + H⁺ → H₂CO₃ |
| HSO₄⁻ | HSO₄⁻ → H⁺ + SO₄²⁻ | HSO₄⁻ + H⁺ → H₂SO₄ |
- 酸の特徴:すっぱい・青リトマスを赤・BTB黄・H₂発生・pH<7
- 塩基の特徴:苦い・ぬめり・赤リトマスを青・BTB青・pH>7
- アレニウス:酸=H⁺放出、塩基=OH⁻放出
- ブレンステッド:酸=H⁺を与える、塩基=H⁺を受け取る
- ルイス:酸=電子対を受け取る、塩基=電子対を与える
- 価数:1分子が放出できるH⁺(またはOH⁻)の数
- 強酸6種:HCl・HNO₃・H₂SO₄・HClO₄・HBr・HI
- 強塩基:アルカリ金属の水酸化物・Ca(OH)₂・Ba(OH)₂
- 両性物質:酸・塩基どちらにもなる(H₂O・HCO₃⁻など)
✏️ 練習問題【全5問】
解答・解説は次の記事で確認しましょう!
次の物質をアレニウスの定義で酸・塩基に分類せよ。
HCl、NaOH、H₂SO₄、Ca(OH)₂、CH₃COOH、NH₃
次の反応において、ブレンステッドの定義で酸・塩基はどれか答えよ。
$$\text{HCl} + \text{H}_2\text{O} \rightarrow \text{H}_3\text{O}^+ + \text{Cl}^-$$
次の酸・塩基の価数をそれぞれ答えよ。
① H₂SO₄ ② HNO₃ ③ H₃PO₄ ④ Ca(OH)₂ ⑤ NH₃
次の物質を強酸・弱酸・強塩基・弱塩基に分類せよ。
HCl、CH₃COOH、NaOH、NH₃、H₂SO₄、Ca(OH)₂、HF、Mg(OH)₂
水(H₂O)が両性物質であることを、ブレンステッドの定義を用いて2つの反応式で説明せよ。


コメント