【解答・解説】酸化還元反応 演習問題18問を丁寧に解説【高校化学】

酸化還元
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演習問題18問、お疲れ様でした!この記事では全18問の解答と解説を丁寧に説明します。間違えた問題は解説をしっかり読んで、苦手分野を克服しましょう!

📋 解答一覧(まず答え合わせ)
  • 問題1:①酸化 ②還元 ③還元
  • 問題2:①+6 ②+5 ③+6 ④−1 ⑤+7
  • 問題3:酸化された物質=KBr、還元された物質=Cl₂、酸化剤=Cl₂、還元剤=KBr
  • 問題4:① 3、3、2 ② 2、2、2
  • 問題5:① Sn²⁺ → Sn⁴⁺ + 2e⁻ ② H₂S → S + 2H⁺ + 2e⁻
  • 問題6:MnO₄⁻ + 5Fe²⁺ + 8H⁺ → Mn²⁺ + 5Fe³⁺ + 4H₂O
  • 問題7:①酸化剤 ②自己酸化還元(H₂O₂自身が酸化剤・還元剤どちらにもなる)
  • 問題8:Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O
  • 問題9:MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O
  • 問題10:2KMnO₄ + 5(COOH)₂ + 3H₂SO₄ → 2MnSO₄ + 10CO₂ + 8H₂O + K₂SO₄
  • 問題11:Ag + 2HNO₃(濃) → AgNO₃ + NO₂ + H₂O
  • 問題12:1.0 × 10⁻³ mol
  • 問題13:0.0625 mol/L
  • 問題14:0.250 mol/L
  • 問題15:35.0%
  • 問題16:①ビュレット ③ホールピペット
  • 問題17:①Cl⁻がKMnO₄に酸化されCl₂が発生するため ②薄い赤紫色が30秒以上消えない時点 ③反応速度を上げるため
  • 問題18:KMnO₄がゴムを酸化・劣化させるため
【第1部】酸化・還元の定義と酸化数
問題 1基礎 ① Fe → Fe²⁺ + 2e⁻ ② Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu ③ Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻
答え 酸化 ② 還元 ③ 還元
反応電子の動き判定
① Fe → Fe²⁺ + 2e⁻e⁻を放出(右辺にe⁻)酸化
② Cu²⁺ + 2e⁻ → Cue⁻を受け取る(左辺にe⁻)還元
③ Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻e⁻を受け取る(左辺にe⁻)還元
問題 2基礎 ① SO₃のS ② NO₃⁻のN ③ Cr₂O₇²⁻のCr ④ NaHのH ⑤ MnO₄⁻のMn
答え ①+6 ②+5 ③+6 ④−1 ⑤+7
① SO₃のS

O×3=−6、総和0より S=+6

② NO₃⁻のN

O×3=−6、総和−1より N=−1+6=+5

③ Cr₂O₇²⁻のCr

O×7=−14、総和−2より Cr×2=−2+14=12 → Cr=+6

④ NaHのH

Naは+1(アルカリ金属)、総和0より H=−1(金属水素化物の例外!)

⑤ MnO₄⁻のMn

O×4=−8、総和−1より Mn=−1+8=+7

問題 3標準 Cl₂ + 2KBr → 2KCl + Br₂ において酸化・還元された物質、酸化剤・還元剤を答えよ。
答え 酸化された物質:KBr 酸化剤:Cl₂
還元された物質:Cl₂ 還元剤:KBr
原子反応前反応後変化判定
Cl0(Cl₂)−1(KCl)−1 減少酸化剤
Br−1(KBr)0(Br₂)+1 増加還元剤
【第2部】半反応式・イオン反応式
問題 4基礎 ① HNO₃(希)の半反応式の空欄を埋めよ ② H₂SO₄(熱濃)の半反応式の空欄を埋めよ
答え ① 3、3、2 ② 2、2、2
①【希硝酸】Nの酸化数+5→+2(3減少)→e⁻×3
$$\text{HNO}_3 + 3\text{H}^+ + 3e^- \rightarrow \text{NO} + 2\text{H}_2\text{O}$$
②【熱濃硫酸】Sの酸化数+6→+4(2減少)→e⁻×2
$$\text{H}_2\text{SO}_4 + 2\text{H}^+ + 2e^- \rightarrow \text{SO}_2 + 2\text{H}_2\text{O}$$
問題 5標準 ① Sn²⁺が還元剤 ② H₂Sが還元剤 の半反応式を書け。
答え ① Sn²⁺ → Sn⁴⁺ + 2e⁻
② H₂S → S + 2H⁺ + 2e⁻
① Sn²⁺の半反応式

Snの酸化数:+2→+4(2増加)→ e⁻×2個(右辺へ)
電荷確認:左辺+2、右辺+4+(−2)=+2 ✅

② H₂Sの半反応式

Sの酸化数:−2→0(2増加)→ e⁻×2個(右辺へ)
H原子:左辺2個→右辺にH⁺×2を追加

問題 6標準 過マンガン酸カリウムとFe²⁺の反応のイオン反応式を作れ。(硫酸酸性)
答え MnO₄⁻ + 5Fe²⁺ + 8H⁺ → Mn²⁺ + 5Fe³⁺ + 4H₂O
酸化剤(MnO₄⁻)の半反応式

MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O …①

還元剤(Fe²⁺)の半反応式

Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻ …②

①×1+②×5でe⁻を消す
$$\text{MnO}_4^- + 5\text{Fe}^{2+} + 8\text{H}^+ \rightarrow \text{Mn}^{2+} + 5\text{Fe}^{3+} + 4\text{H}_2\text{O}$$
問題 7標準 ① H₂O₂+2KI+H₂SO₄→I₂+K₂SO₄+2H₂O ② 2H₂O₂→2H₂O+O₂ でH₂O₂はどちらとしてはたらくか。
答え 酸化剤 ② 自己酸化還元(酸化剤かつ還元剤
①の確認

H₂O₂中のO:−1 → H₂O中のO:−2(減少)→ H₂O₂は酸化剤
KI中のI:−1 → I₂:0(増加)→ KIが還元剤

②の確認(自己酸化還元)

H₂O₂中のO(−1)が同時に:
→ H₂O中のO(−2)に減少する部分 = 酸化剤
→ O₂中のO(0)に増加する部分 = 還元剤
1つの物質が同時に酸化剤・還元剤になる反応を自己酸化還元(不均化)という

【第3部】化学反応式の作り方
問題 8標準 銅と熱濃硫酸の化学反応式を作れ。
答え Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O
半反応式

酸化剤:H₂SO₄ + 2H⁺ + 2e⁻ → SO₂ + 2H₂O
還元剤:Cu → Cu²⁺ + 2e⁻

イオン→分子に戻す

H⁺×2+SO₄²⁻×1 → H₂SO₄×1、Cu²⁺+SO₄²⁻ → CuSO₄
H₂SO₄合計:1+1=2mol

問題 9標準 二酸化マンガンと濃塩酸の化学反応式を作れ。
答え MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O
半反応式

酸化剤:MnO₂ + 4H⁺ + 2e⁻ → Mn²⁺ + 2H₂O
還元剤:2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻

イオン→分子に戻す

H⁺×4とCl⁻×4 → HCl×4、Mn²⁺とCl⁻×2 → MnCl₂
HCl合計:4mol(うち2molが酸化還元、2molが塩を形成)

問題 10標準 硫酸酸性下でKMnO₄と(COOH)₂が反応するときの化学反応式を作れ。
答え 2KMnO₄ + 5(COOH)₂ + 3H₂SO₄ → 2MnSO₄ + 10CO₂ + 8H₂O + K₂SO₄
e⁻の数合わせ:①×2+②×5

MnO₄⁻のe⁻:5個 × 2 = 10個
(COOH)₂のe⁻:2個 × 5 = 10個 ✅

問題 11標準 銀と濃硝酸の化学反応式を作れ。
答え Ag + 2HNO₃(濃) → AgNO₃ + NO₂ + H₂O
半反応式

酸化剤:HNO₃ + H⁺ + e⁻ → NO₂ + H₂O …①
還元剤:Ag → Ag⁺ + e⁻ …②

①×1+②×1、イオン→分子に戻す

H⁺×1+NO₃⁻×1 → HNO₃×1、Ag⁺+NO₃⁻ → AgNO₃
HNO₃合計:1+1=2mol

【第4部】モル計算・酸化還元滴定
問題 12基礎 0.020 mol/LのKMnO₄水溶液10.0 mLと過不足なく反応するFe²⁺は何molか。
答え 1.0 × 10⁻³ mol
KMnO₄のmol数

0.020 × 10.0/1000 = 2.0 × 10⁻⁴ mol

e⁻のmol数が等しい関係

2.0 × 10⁻⁴ × 5 = Fe²⁺のmol数 × 1
Fe²⁺のmol数 = 1.0 × 10⁻³ mol

問題 13標準 シュウ酸水溶液20.0 mLを0.025 mol/LのKMnO₄水溶液20.0 mLで滴定した。シュウ酸の濃度を求めよ。
答え 0.0625 mol/L
KMnO₄のmol数

0.025 × 20.0/1000 = 5.0 × 10⁻⁴ mol

e⁻のmol数が等しい関係

5.0 × 10⁻⁴ × 5 = (COOH)₂のmol数 × 2
(COOH)₂ = 1.25 × 10⁻³ mol
濃度 = 1.25 × 10⁻³ ÷ 20.0/1000 = 0.0625 mol/L

問題 14標準 H₂O₂水溶液10.0 mLを0.040 mol/LのKMnO₄水溶液12.5 mLで滴定した。H₂O₂の濃度を求めよ。
答え 0.250 mol/L
KMnO₄のmol数

0.040 × 12.5/1000 = 5.0 × 10⁻⁴ mol

e⁻のmol数が等しい関係

5.0 × 10⁻⁴ × 5 = H₂O₂のmol数 × 2
H₂O₂ = 1.25 × 10⁻³ mol
濃度 = 1.25 × 10⁻³ ÷ 10.0/1000 = 0.250 mol/L

問題 15標準 鉄鉱石2.00 gを溶解し0.0200 mol/LのKMnO₄水溶液25.0 mLで滴定した。Feの質量パーセントを求めよ。(Fe原子量56)
答え 35.0%
KMnO₄のmol数

0.0200 × 25.0/1000 = 5.00 × 10⁻⁴ mol

Fe²⁺のmol数

5.00 × 10⁻⁴ × 5 = Fe²⁺ × 1
Fe²⁺ = 2.50 × 10⁻³ mol

Feの質量パーセント

Feの質量 = 2.50 × 10⁻³ × 56 = 0.140 g
質量パーセント = 0.140 ÷ 2.00 × 100 = 35.0%

【第5部】実験操作・器具
問題 16基礎 共洗いが必要なものをすべて選べ。①ビュレット ②コニカルビーカー ③ホールピペット ④メスフラスコ
答え ① ビュレット ③ ホールピペット

ビュレット・ホールピペットは液の体積が正確に決まる器具のため、水で薄まると濃度・mol数が変わってしまいます。共洗いが必要です。
コニカルビーカー・メスフラスコは水が入ってもmol数に影響しないため共洗い不要です。

問題 17標準 KMnO₄滴定について①塩酸使用不可の理由 ②終点の判断 ③加温する理由を答えよ。
答え ①Cl⁻がKMnO₄に酸化されCl₂が発生し正確な滴定ができなくなるため
②薄い赤紫色が30秒以上消えない時点
③反応速度を上げるため
①塩酸が使えない理由

HClのCl⁻がKMnO₄(強酸化剤)によって酸化されてCl₂が発生します。これにより余分な酸化還元反応が起きて、正確な滴定量が測れなくなります。希硫酸のみ使用可です。

②終点の判断

KMnO₄は赤紫色、反応後のMn²⁺はほぼ無色です。すべてのKBrと反応し終わると、次の1滴の KMnO₄が反応せず溶液が薄い赤紫色に変わります。これが終点です。

③加温する理由

常温ではKMnO₄とシュウ酸の反応が非常に遅いため、約60〜70℃に加温して反応速度を上げます。ただし沸騰させるとシュウ酸が分解するので注意。

問題 18標準 KMnO₄滴定でガラスコックのビュレットを使う理由を答えよ。
答え KMnO₄がゴムを酸化・劣化させるため

KMnO₄は強い酸化剤であり、ゴム管を酸化して劣化・溶解させてしまいます。そのためゴム管のビュレットは使用できず、ガラスコック付きのビュレットを使います。

📝 酸化還元反応シリーズ 完全マスター!
  • 酸化還元の核心:電子のやりとりで理解する
  • 半反応式:e⁻ → H₂O → H⁺ の順で作る
  • 化学反応式:e⁻を合わせてイオンを分子に戻す
  • モル計算:酸化剤×e⁻数=還元剤×e⁻数
  • 実験:共洗いが必要な器具を正確に覚える
  • KMnO₄滴定:ガラスコック・希硫酸・加温・赤紫色がキーワード

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