【前回の記事】酸化還元滴定の実験操作と器具
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酸化還元反応シリーズ全10記事、お疲れ様でした!この記事ではシリーズ全体の重要事項をまとめ、入試標準レベルの演習問題に挑戦します。苦手な分野があれば対応する記事に戻って復習してから取り組みましょう!
| 定義 | 酸化 | 還元 |
|---|---|---|
| 酸素 | 酸素と化合する | 酸素を失う |
| 水素 | 水素を失う | 水素と化合する |
| 電子 | 電子を失う(酸化数増加) | 電子を受け取る(酸化数減少) |
- ルール1:単体の酸化数は 0
- ルール2:単原子イオンの酸化数はイオンの電荷と同じ
- ルール3:化合物中のHは +1(例外:金属水素化物では −1)
- ルール4:化合物中のOは −2(例外:H₂O₂では −1)
- ルール5:アルカリ金属は +1
- ルール6:化合物の酸化数の総和は 0、イオンは電荷と等しい
| 酸化剤 | 還元剤 | |
|---|---|---|
| 定義 | 電子を受け取る物質 | 電子を渡す物質 |
| 自身の変化 | 還元される | 酸化される |
| 半反応式のe⁻ | 左辺にe⁻ | 右辺にe⁻ |
- MnO₄⁻(酸性):MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
- Cr₂O₇²⁻:Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O
- HNO₃(希):HNO₃ + 3H⁺ + 3e⁻ → NO + 2H₂O
- HNO₃(濃):HNO₃ + H⁺ + e⁻ → NO₂ + H₂O
- H₂SO₄(熱濃):H₂SO₄ + 2H⁺ + 2e⁻ → SO₂ + 2H₂O
- H₂O₂(酸化剤):H₂O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → 2H₂O
- (COOH)₂(還元剤):(COOH)₂ → 2CO₂ + 2H⁺ + 2e⁻
- H₂O₂(還元剤):H₂O₂ → O₂ + 2H⁺ + 2e⁻
- Fe²⁺:Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻
【手順】
STEP1:酸化剤・還元剤の半反応式を書く
STEP2:e⁻の数を合わせて足し算 → イオン反応式
STEP3:イオンを分子の形に戻す
STEP4:両辺を整理 → 化学反応式の完成
- Cu+希HNO₃:3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO + 4H₂O
- Cu+濃HNO₃:Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O
- Cu+熱濃H₂SO₄:Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O
- Ag+希HNO₃:3Ag + 4HNO₃ → 3AgNO₃ + NO + 2H₂O
- MnO₂+濃HCl:MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O
- KMnO₄+(COOH)₂(硫酸酸性):2KMnO₄ + 5(COOH)₂ + 3H₂SO₄ → 2MnSO₄ + 10CO₂ + 8H₂O + K₂SO₄
【基本式】
酸化剤のmol数 × 1molあたりのe⁻数 = 還元剤のmol数 × 1molあたりのe⁻数
・KMnO₄:1molあたり5molのe⁻
・K₂Cr₂O₇:1molあたり6molのe⁻
・(COOH)₂・H₂O₂(還元剤):1molあたり2molのe⁻
・Fe²⁺:1molあたり1molのe⁻
| 器具 | 用途 | 共洗い |
|---|---|---|
| ビュレット | 標準溶液を滴下する | 必要 |
| ホールピペット | 試料を正確に取り出す | 必要 |
| コニカルビーカー | 試料を入れて振り混ぜる | 不要 |
| メスフラスコ | 標準溶液を調製する | 不要 |
・酸性化:希硫酸のみ可(塩酸→Cl₂発生、硝酸→酸化剤なので不可)
・ビュレット:ガラスコック使用(ゴムはKMnO₄で劣化)
・加温:60〜70℃(反応速度を上げる。沸騰させない)
・終点:薄い赤紫色が30秒以上持続した時点
✏️ 演習問題【全18問】
シリーズ全体の総復習です。解答・解説は次の記事で確認しましょう!
次の反応はそれぞれ酸化か還元か、電子の定義で答えよ。
① Fe → Fe²⁺ + 2e⁻ ② Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu ③ Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻
次の化合物・イオン中の下線を引いた原子の酸化数を求めよ。
① SO₃ ② NO₃⁻ ③ Cr₂O₇²⁻ ④ NaH ⑤ MnO₄⁻
次の反応において酸化された物質・還元された物質・酸化剤・還元剤をそれぞれ答えよ。
$$\text{Cl}_2 + 2\text{KBr} \rightarrow 2\text{KCl} + \text{Br}_2$$
次の半反応式の( )に適切な数字・式を入れよ。
① HNO₃ + ( )H⁺ + ( )e⁻ → NO + ( )H₂O
② H₂SO₄ + ( )H⁺ + ( )e⁻ → SO₂ + ( )H₂O
次の半反応式を書け。
① Sn²⁺が還元剤としてはたらく場合 ② H₂Sが還元剤としてはたらく場合
過マンガン酸カリウムとFe²⁺の反応のイオン反応式を作れ。(硫酸酸性条件下)
H₂O₂は相手によって酸化剤・還元剤どちらにもなる。次の2つの反応でH₂O₂はそれぞれどちらとしてはたらいているか、酸化数の変化をもとに答えよ。
① H₂O₂ + 2KI + H₂SO₄ → I₂ + K₂SO₄ + 2H₂O
② 2H₂O₂ → 2H₂O + O₂(分解反応)
銅と熱濃硫酸の化学反応式を作れ。
二酸化マンガンと濃塩酸の化学反応式を作れ。
硫酸酸性下で過マンガン酸カリウムとシュウ酸が反応するときの化学反応式を作れ。
銀と濃硝酸の化学反応式を作れ。
0.020 mol/LのKMnO₄水溶液10.0 mLと過不足なく反応するFe²⁺は何molか。
シュウ酸水溶液20.0 mLに希硫酸を加えた後、0.025 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ20.0 mLを要した。シュウ酸水溶液の濃度を求めよ。
H₂O₂水溶液10.0 mLに希硫酸を加えた後、0.040 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ12.5 mLを要した。H₂O₂水溶液のモル濃度を求めよ。
鉄鉱石2.00 gを溶解してFe²⁺を含む溶液を調製し、0.0200 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ25.0 mLを要した。鉄鉱石中のFeの質量パーセントを求めよ。(Fe原子量56)
次の器具のうち、使用前に共洗いが必要なものをすべて選べ。
①ビュレット ②コニカルビーカー ③ホールピペット ④メスフラスコ
KMnO₄を使った酸化還元滴定について、次の問いに答えよ。
① 酸性化に塩酸を使ってはいけない理由を説明せよ。
② 滴定の終点はどのように判断するか説明せよ。
③ シュウ酸との反応で加温する理由を答えよ。
KMnO₄水溶液をビュレットに入れて滴定を行う際、ゴム管のビュレットではなくガラスコックのビュレットを用いる理由を答えよ。
- 酸化還元の最重要定義:酸化=電子を失う、還元=電子を受け取る
- 酸化剤はe⁻が左辺、還元剤はe⁻が右辺に来る
- 化学反応式:半反応式 → e⁻を合わせる → イオンを分子に戻す
- モル計算の基本:酸化剤のe⁻mol数=還元剤のe⁻mol数
- 共洗いが必要:ビュレット・ホールピペット
- KMnO₄滴定の酸性化は希硫酸のみ(塩酸・硝酸は不可)


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