【前回の記事】酸化還元のモル計算 解答・解説
モル計算の解答・解説をまだ確認していない方はこちらから!
▶ 前回の記事を読む
酸化還元滴定の計算方法はマスターできましたか?今回は実験操作と実験器具に注目します。「どの器具を使うか」「なぜその器具でなければいけないのか」という理由まで理解しておくと、入試の記述問題にも対応できます!
📌 この記事でわかること
- 酸化還元滴定で使う実験器具の種類と役割
- 共洗いが必要な器具・不要な器具の違い
- 実験操作の手順(準備〜終点の確認)
- KMnO₄滴定の特有の注意点
酸化還元滴定の装置全体像
まずは滴定装置全体のイメージを確認しましょう。ビュレットにKMnO₄(紫色)を充填し、下のコニカルビーカーに滴下します。
▲ 酸化還元滴定装置(KMnO₄水溶液を使った滴定)
酸化還元滴定で使う実験器具
酸化還元滴定では、酸塩基滴定と同様の器具を使いますが、器具の選び方に注意が必要です。特にKMnO₄を使う場合は器具の材質に気をつけましょう。
ホールピペット
試料を正確な量(10mLなど)取り出す。安全ピペッターで液を吸い上げる
メスフラスコ
標準溶液を正確な濃度に調製する。標線まで蒸留水で薄める
終点の様子
薄い赤紫色が30秒以上消えない時点が終点
| 器具 | 用途 | 共洗い | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ビュレット | 標準溶液を滴下する | 必要 | KMnO₄はゴム管を避けガラスコックを使う |
| ホールピペット | 試料を正確に取り出す | 必要 | 口で吸うのは厳禁!安全ピペッターを使う |
| コニカルビーカー | 試料を入れて振り混ぜる | 不要 | 蒸留水で洗うだけでOK |
| メスフラスコ | 標準溶液を調製する | 不要 | 蒸留水で標線まで薄める |
共洗いとは?
器具を蒸留水で洗った後、残った水分が影響しないよう使用する溶液で2〜3回すすぐ操作を「共洗い」といいます。
▲ 共洗いの操作(蒸留水で洗った後→標準溶液で2〜3回すすぐ)
⚠️ なぜコニカルビーカーは共洗い不要?
ビュレットやホールピペットは液の体積が正確に決まる器具なので、水で薄まると濃度が変わってしまいます。そのため共洗いが必要です。
コニカルビーカーは中の液が少し増えても、mol数は変わらないため共洗い不要です。
KMnO₄滴定で特に注意する点
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| ガラスコックのビュレットを使う | KMnO₄はゴムを酸化・劣化させるため、ゴム管のビュレットは使えない |
| 褐色ビン(遮光)で保存する | KMnO₄は光で分解するため遮光保管が必要 |
| 酸性化には希硫酸のみ使用 | 塩酸を使うとCl⁻が酸化されてCl₂が発生し、正確な滴定ができなくなる。硝酸も酸化剤なので不可 |
| 加温する(約60〜70℃) | シュウ酸との反応速度を上げるため。沸騰させると分解するので注意 |
| 指示薬は不要 | KMnO₄自体が赤紫色のため、過剰になると自然に色が変わる |
⚠️ 塩酸ではなく硫酸を使う理由(入試頻出!)
・塩酸(HCl):Cl⁻がKMnO₄に酸化されてCl₂が発生 → 滴定量が狂う → 使用不可
・硝酸(HNO₃):それ自体が酸化剤 → 試料と反応してしまう → 使用不可
・硫酸(H₂SO₄):酸化されにくく、KMnO₄の反応に必要なH⁺を供給できる → 使用可!
実験手順(KMnO₄によるシュウ酸の滴定)
1
標準溶液の調製
KMnO₄を正確に量り取り、メスフラスコで所定の体積に薄めて標準溶液を作る
KMnO₄を正確に量り取り、メスフラスコで所定の体積に薄めて標準溶液を作る
▼
2
ビュレットの準備
ビュレットをKMnO₄溶液で共洗い(2〜3回)後、KMnO₄溶液を充填し0.00 mLに合わせる
ビュレットをKMnO₄溶液で共洗い(2〜3回)後、KMnO₄溶液を充填し0.00 mLに合わせる
▼
3
試料の採取
ホールピペットでシュウ酸水溶液を正確に10.00 mL取り、コニカルビーカーに入れる
ホールピペットでシュウ酸水溶液を正確に10.00 mL取り、コニカルビーカーに入れる
▼
4
希硫酸を加えて酸性にする
コニカルビーカーに希硫酸を適量加える(塩酸・硝酸は使用不可!)
コニカルビーカーに希硫酸を適量加える(塩酸・硝酸は使用不可!)
▼
5
加温する
反応速度を上げるため約60〜70℃に温める(沸騰させない)
反応速度を上げるため約60〜70℃に温める(沸騰させない)
▼
6
KMnO₄を滴下する
ビュレットからKMnO₄を少しずつ滴下しながらコニカルビーカーを振り混ぜる。滴下のたびに赤紫色が消えることを確認する
ビュレットからKMnO₄を少しずつ滴下しながらコニカルビーカーを振り混ぜる。滴下のたびに赤紫色が消えることを確認する
▼
7
終点の確認
KMnO₄を1滴加えたとき、溶液全体が薄い赤紫色になり30秒以上消えない時点が終点
KMnO₄を1滴加えたとき、溶液全体が薄い赤紫色になり30秒以上消えない時点が終点
▼
8
滴下量を記録する
ビュレットの目盛りを読み取り、使用したKMnO₄の体積を記録する
ビュレットの目盛りを読み取り、使用したKMnO₄の体積を記録する
▲ 終点の様子:溶液が薄い赤紫色になり30秒以上消えなくなった状態
📝 この記事のまとめ
- ビュレット・ホールピペットは共洗いが必要(水で薄まると濃度が変わるため)
- コニカルビーカー・メスフラスコは共洗い不要
- KMnO₄滴定ではガラスコックのビュレットを使う
- 酸性化には希硫酸のみ使用可(塩酸・硝酸は不可)
- KMnO₄滴定では加温(60〜70℃)して反応速度を上げる
- 終点は薄い赤紫色が30秒以上持続した時点


コメント