【前回の記事】【解答・解説】酸化還元の化学反応式 練習問題5問
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酸化還元反応の化学反応式が書けるようになったら、次はモル計算です。「酸化剤が受け取るe⁻のmol数」と「還元剤が渡すe⁻のmol数」は必ず等しくなります。この関係を使えば、濃度・体積・質量などを求める計算問題が解けるようになります!
- 酸化還元反応のモル計算の基本(e⁻のmol数が等しい)
- 酸化還元滴定とは何か
- 例題①:KMnO₄によるシュウ酸の滴定
- 例題②:KMnO₄による過酸化水素の定量
- 例題③:K₂Cr₂O₇によるFe²⁺の定量
- 練習問題5問
酸化還元反応では、酸化剤が受け取るe⁻のmol数と還元剤が渡すe⁻のmol数は必ず等しいという関係が成り立ちます。
【モル計算の基本式】
酸化剤が受け取るe⁻のmol数 = 還元剤が渡すe⁻のmol数
酸化剤のmol数 × 1molあたりのe⁻数 = 還元剤のmol数 × 1molあたりのe⁻数
各物質が1molあたり何molのe⁻を授受するかは、半反応式から読み取ります。
| 物質 | 役割 | 半反応式 | 1molあたりのe⁻ |
|---|---|---|---|
| KMnO₄(酸性) | 酸化剤 | MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O | 5 mol |
| K₂Cr₂O₇ | 酸化剤 | Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O | 6 mol |
| H₂O₂(酸化剤) | 酸化剤 | H₂O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → 2H₂O | 2 mol |
| (COOH)₂ | 還元剤 | (COOH)₂ → 2CO₂ + 2H⁺ + 2e⁻ | 2 mol |
| H₂O₂(還元剤) | 還元剤 | H₂O₂ → O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ | 2 mol |
| Fe²⁺ | 還元剤 | Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻ | 1 mol |
| (COOH)₂ | 還元剤 | (COOH)₂ → 2CO₂ + 2H⁺ + 2e⁻ | 2 mol |
酸化還元滴定とは、酸化剤または還元剤の水溶液を使って、未知の濃度を求める操作のことです。酸塩基滴定と同様に、ビュレットを使って滴下します。
- 試料(濃度未知)をコニカルビーカーに入れる
- 硫酸を加えて酸性にする(KMnO₄滴定の場合)
- ビュレットから標準溶液(濃度既知)を滴下する
- 終点(色の変化)を確認する
- e⁻のmol数が等しい関係から濃度を計算する
KMnO₄(過マンガン酸カリウム)は濃い赤紫色です。
反応中はMn²⁺(ほぼ無色)に変化するため、溶液は無色のままです。
終点では過剰のKMnO₄が残り、溶液が薄い赤紫色に変わった時点が終点です。
指示薬は不要です!
問題:シュウ酸((COOH)₂)水溶液10.0 mLに硫酸を加えた後、0.020 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ、8.0 mLを要した。シュウ酸水溶液の濃度を求めよ。
KMnO₄(酸化剤):MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O
→ KMnO₄ 1mol が 5mol のe⁻を受け取る
(COOH)₂(還元剤):(COOH)₂ → 2CO₂ + 2H⁺ + 2e⁻
→ (COOH)₂ 1mol が 2mol のe⁻を渡す
KMnO₄のmol数 = 0.020 mol/L × 8.0/1000 L = 1.6 × 10⁻⁴ mol
(COOH)₂のmol数を x mol とすると:
KMnO₄のe⁻ = (COOH)₂のe⁻
1.6 × 10⁻⁴ × 5 = x × 2
x = (1.6 × 10⁻⁴ × 5) ÷ 2 = 4.0 × 10⁻⁴ mol
濃度 = 4.0 × 10⁻⁴ mol ÷ 10.0/1000 L = 0.040 mol/L
シュウ酸水溶液の濃度:0.040 mol/L
問題:H₂O₂水溶液20.0 mLに希硫酸を加えた後、0.050 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ、20.0 mLを要した。H₂O₂水溶液の濃度を求めよ。
KMnO₄(酸化剤):1molあたり 5mol のe⁻を受け取る
H₂O₂(還元剤):H₂O₂ → O₂ + 2H⁺ + 2e⁻
→ H₂O₂ 1mol が 2mol のe⁻を渡す
KMnO₄のmol数 = 0.050 × 20.0/1000 = 1.0 × 10⁻³ mol
H₂O₂のmol数を x mol とすると:
1.0 × 10⁻³ × 5 = x × 2
x = 2.5 × 10⁻³ mol
濃度 = 2.5 × 10⁻³ ÷ 20.0/1000 = 0.125 mol/L
H₂O₂水溶液の濃度:0.125 mol/L
問題:Fe²⁺を含む水溶液25.0 mLに希硫酸を加えた後、0.010 mol/LのK₂Cr₂O₇水溶液で滴定したところ、15.0 mLを要した。Fe²⁺の濃度を求めよ。
K₂Cr₂O₇(酸化剤):Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O
→ K₂Cr₂O₇ 1mol が 6mol のe⁻を受け取る
Fe²⁺(還元剤):Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻
→ Fe²⁺ 1mol が 1mol のe⁻を渡す
K₂Cr₂O₇のmol数 = 0.010 × 15.0/1000 = 1.5 × 10⁻⁴ mol
Fe²⁺のmol数を x mol とすると:
1.5 × 10⁻⁴ × 6 = x × 1
x = 9.0 × 10⁻⁴ mol
濃度 = 9.0 × 10⁻⁴ ÷ 25.0/1000 = 0.036 mol/L
Fe²⁺の濃度:0.036 mol/L
- 酸化剤のe⁻mol数 = 還元剤のe⁻mol数が計算の基本
- 1molあたりのe⁻数は半反応式から読み取る
- KMnO₄:1molあたり5molのe⁻を受け取る
- K₂Cr₂O₇:1molあたり6molのe⁻を受け取る
- KMnO₄滴定の終点は溶液が薄い赤紫色になった時点
✏️ 練習問題【全5問】
解答・解説は次の記事で確認しましょう!
シュウ酸((COOH)₂)水溶液10.0 mLに希硫酸を加えた後、0.040 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ、10.0 mLを要した。シュウ酸水溶液の濃度を求めよ。
0.10 mol/LのH₂O₂水溶液10.0 mLを希硫酸酸性にし、KMnO₄水溶液で滴定した。何mol/LのKMnO₄水溶液が何mL必要か求めよ。ただしKMnO₄水溶液の濃度は0.020 mol/Lとする。
Fe²⁺を含む水溶液20.0 mLを0.025 mol/LのK₂Cr₂O₇水溶液で滴定したところ、12.0 mLを要した。Fe²⁺の濃度を求めよ。
濃度不明のH₂O₂水溶液5.00 mLをとり、希硫酸を加えた後、0.0200 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ、25.0 mLを要した。このH₂O₂水溶液の濃度と、H₂O₂の質量パーセント濃度を求めよ。ただし密度は1.01 g/mL、H₂O₂の分子量は34とする。
鉄鉱石1.00 gを溶かしてFe²⁺を含む溶液を調製し、希硫酸を加えた後、0.0200 mol/LのKMnO₄水溶液で滴定したところ、20.0 mLを要した。この鉄鉱石に含まれるFeの質量パーセントを求めよ。ただしFeの原子量は56とする。


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